大手町のランダムウォーカー

現役銀行員が教えるお金のこと

お金の価値① 銀行預金で金が減る?!

皆さんは自身のお金の大半をどこに置いているか。

 

まさかタンスの中にしまっている方は、もう居るまい。

 

おそらく銀行の普通預金か定期預金に入れてあるだろう。

 

銀行預金なら金が減るリスクもなく安心である。

 

コツコツ貯金をすればそれなりのお金を貯めることができる。

 

今では「財形」といって、給料から天引きでいくらかを毎月自動的に積み立てててくれる便利なシステムが会社で取り入れられている場合もあるだろう。

 

筆者も毎月数万円を給与天引きで積み立てている。

 

自分の意思ではなかなかな続かない貯金もこれなら強制的に続けさせられる。

 

便利な世の中だ。

 

貯金こそが資産を減らすことなく安定してお金を貯めることができる最善の資産運用のように考えている方も多いであろう。

 

ここで皆さんにひとつ疑問を投げかけたい。

 

銀行預金は本当にお金が減ることはないのか?と…

 

お金の価値

 

皆さんはお金の価値とはどのようなものだと考えているか。

 

今日の100円玉の価値は明日も同じ100円で、未来永劫100円のままだろうか?

 

実はそうでもない。

 

例えば、どこでも同じ100円の値段で売られているお菓子がある。

 

日本中の人がこのお菓子は100円だと認識している。

 

あなたは今日、このお菓子を100円玉一枚と交換することが出来る。(消費税は考慮しない)

 

これが、今日の100円玉の価値は100円である、ということだ。

 

さて、ここであなたは今から2年間、海外で生活するとしよう。

 

その間にこのお菓子は200円に値上げされたとしよう。

 

日本の人は渋々と値上げを受け入れ、2年後にはこのお菓子の値段 = 200円という概念が定着する。

 

何も知らないあなたは2年後に帰国し、久々にこのお菓子を買おうと100円玉を差し出す。

 

しかしお店の人は、これではを金が足りないという。

 

今まで100円玉1枚で買えた物が、今では2枚必要になっている。

 

これが、このお菓子に対しての100円玉の価値が半分に下がったといことだ。

 

あなたは、100円玉の運用に失敗しお金を半分に減らしてしまったわけではない。

 

100円玉をそのまま100円玉として持っていただけである。

 

しかし、もしこの値上げがこのお菓子だけはなく、生活必需品全般的なものであったとしたら、この事象においてあなたは資産の半分を失ったのと同じインパクトを受けたことになる。

 

これが、お金の価値が下がるといことである。

 

政府が掲げる物価上昇目標

 

政府は日本の物価を2%上昇させることを目標としている。

 

これは、あなたの身の回りのものの値段を2%値上げさせることだ。

 

もし、この政策が成功し実現したとすれば、あなたの銀行預金や定期預金のお金は、相対的に2%価値が下がってしまうということだ。

 

別の言い方をすれば、貯金して2%損をしてしまうということである。

 

これは、もしあなたがお金の価値を下げずにお金を貯めようとするのなら、お金の価値を物価と連動させる必要があるということだ。

 

このように、銀行に預けていれば絶対にお金が減ることはないということは、ありえないことなのである。

 

このことは、金利が8%ついたバブル期でも多くの人が定期預金でお金を減らしてしまったという事実に裏付けられている。

 

次回記事に続く…